作成:森岡正博 |
無痛文明論
森岡正博
『無痛文明論』
トランスビュー 2003年10月 全451頁 本体3800円
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森岡思想の集大成であり、代表作。快楽を追い求める現代文明は、われわれから、深いよろこびを奪っていく。この悪魔のような文明と、どう戦うのか。 快を求め、苦しみを避ける方向へと突き進む現代文明。その流れのなかに、われわれはどうしようもなく飲み込まれ、快と引き替えに「生きる意味」を見失い、死につつ生きる化石の生を送るしかなくなるのではないだろうか・・・。現代文明と人間の欲望をとことんまで突き詰めて描いた超問題作が、2003年10月3日に、とうとうトランスビュー社より刊行されました。1998年より雑誌連載され、このHPでも全文掲載されて、センセーションを巻き起こした原稿を、原形をとどめないほど書き改めて、一冊の本にしました。特に、ラスト2章は、原稿用紙で300枚を超える新たな書き下ろしです。私がいままで書いた本のなかで、もっとも密度が濃く、もっとも賛否両論を呼ぶものとなることでしょう。 出版後、新聞書評などで大きな話題となり、ネットでも賛否両論の意見が続出しています(下記書評一覧参照)。なかでも宮崎哲弥による朝日新聞書評「これは異様な本である。正気と狂気の狭間を擦り抜けるような異様な書法による大冊だ」との評価は話題を呼びました。初版5千部。その後、ちびちびと増刷を続け、2005年秋で8刷り1万3千部。いままで書いた本の中で、最大の反響を呼んでいます。
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特報!
「無痛文明論」韓国語版が2005年2月に刊行されました。
>> 韓国語版情報はこちらです
冒頭20頁分をネットで読んでみる
『無痛文明論』の本文サンプルを無料公開しています。 >> サンプル(PDF) ぜひご覧ください。 |
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都市部の大書店に並んでいます。棚は、「話題書」「哲学・倫理学」「現代思想」などです。 >> 書店目撃情報はこちら。 |
以下は、『無痛文明論』の詳細情報です
以下のページの構成 5 書店配備状況 6 日誌 7 講演会情報 8 書評・批評など NEW |
はじめに 内容サンプル 第1章 無痛文明とは何か 内容サンプル(1)冒頭部分 内容サンプル(2)6節 内容サンプル(3)同じく6節 第2章 無痛文明における愛の条件 内容サンプル 4節 第3章 無痛奔流 内容サンプル 冒頭部分 第4章 暗闇のなかでの自己解体 内容サンプル 冒頭部分 第5章 身体の欲望から生命の欲望へ 第6章 自然化するテクノロジーの罠 内容サンプル 冒頭部分 第7章 「私の死」と無痛文明 (註)本章は内容が過激なためウェブでは公開できません 第8章 自己治癒する無痛文明 内容サンプル 冒頭部分 内容サンプル(2) 第4節途中 あとがき
生命学HPのエッセイ・論文コーナーに数本の関連エッセイがあります。エッセイ「無痛文明論の提唱」が早わかりかもしれない。
雑誌『仏教』に連載されていたバージョンを、研究用資料として、kinokopress.comの森岡全集から、刊行する予定です。詳細が決まり次第、ここでお知らせします。雑誌発表当時のリード文や、その当時の全文公開ページは、こちらをご覧ください。
『無痛文明論』についての、みなさんからのご質問に、可能な限りここでお答えします。専用掲示板に質問を書いてくだされば、お答えをここにアップします。よろしく。 質問1 ・・・「無痛文明」って、ほんとうなの? (Kさんからの質問) 質問2 ・・・無痛文明論だから、やっぱり論文なんですか? (Tyuさんからの質問) 質問3 ・・・(日本が)無痛文明化しないための社会的要因って言うのはあるんでしょうか? (Tfuさんからの質問) 質問4 ・・・無痛文明論の問題意識は豊かな国に住む人固有のものでしかないのでは? (Izmさんからの質問) 質問5 ・・・無痛文明論は昔に戻れっていう思想でしょうか? それとも先へ進めっていうポストモダンの思想でしょうか?
(Totさんからの質問) 質問6 ・・・もしも無痛文明論にいたく共感する政治家がいたとします。その政治家は無痛文明論を活かすような政策を提言できますか? それとも、無痛文明論は政治的ではなくて哲学や宗教の分野だから政策にはなりえませんか?
(Totさんからの質問) 質問7 ・・・性愛において、「性別」という条件をつけること(同性/異性しか愛せないということ)も
「条件つきの愛」ということになるのでしょうか?(Gidさんからの質問) 質問8 ・・・私は大阪市内の某大学で社会福祉を中心に勉強していますが、well-beingを目指す福祉の思想・実践は、本質的に無痛化の装置となってしまうのでしょうか?もしくは、必ずしも無痛化に抗する営みと相反するものではないのでしょうか?(nabeさんからの質問) 質問9(Umeさんからの質問:全文はここ)と回答9
『無痛文明論』が、どの書店のどこに何冊配備されていた・・・というような情報を、りんごさんが書店配備情報ページで、まとめてくださっています。(なお、「森岡正博の本」コーナーも参照。)
6月24日 本ページ公開。無痛文明論の原稿の推敲が終わって、一息状態。でもあとで、また、最初から読みなおそう。池袋の某書店からすでに出版社に問い合わせがあるそうな。編集者と、造本についての打ち合わせ日を決めた。 7月3日 昨日、府立大学の公開講座があった。そこで無痛文明の話題を問題提起。反響あり。そのあと、トランスビュー社長と瀬戸内料理を食べながら打ち合わせ。上下2冊本ではなく、分厚い1冊本にすることにした。値段は3800円くらいか。『生命学に何ができるか』と同じような値段設定になる。学生さんにとっては、高い本になるのが残念だが、仕方ないか。東京と大阪で、無痛文明論の講演会をすることになるかもしれない。そのときは、見に来てください。 7月11日 まだ推敲してます。ほんとうに、完全ということはあり得ないね。「はじめに」と「あとがき」を書き直した。「はじめに」の改訂版全文は上の目次から飛べます。来週に初校が出て、それを書き直したらもう終わりのはずなのだが。それと、誰からも質問がこないので若干さびしいかも(TT)。 7月13日 ようやく質問事項が届きはじめた。 7月26日 初校ゲラが出て、さっそく直しを入れた。編集者に手渡した。あとは再校を待つのみ。もうほとんど変えるところはないだろう。これで、いよいよ、装丁、製本、書店への告知と続いていく。装丁者の作業はすでにはじまっているらしい。どんな装丁になるのだろうか。編集者と一緒に、新宿紀伊国屋書店の営業の人に会ってきた。配備よろしくお願いします! 8月7日 「無痛文明論」を海外に売り込むためのレジュメが、編集者から送られてきた。A4一枚くらいなのだが、これを英語に翻訳しなくてはならない。この際、いろいろ楽しみながらやってみよう。とりあえず、フランス語と韓国語への翻訳を狙おうかと話している。どうなることやら・・・。 8月12日 上記のレジュメをいちおう英語に翻訳した。ついでに目次も翻訳。「無痛文明論」語が英語になるのを見るのは感慨深い。近々、英語ページにアップしよう。 8月23日 再校に手を入れて、さっそく都内で編集者に手渡した。これで完全に著者の手を離れた。あとは、装丁。9月終わりまでには見本刷りが出来上がる。書店に並ぶのは10月第1週だろう。東京での講演会などの打ち合わせもした。いよいよ、という感じだ。『Transview』誌に無痛文明論エッセイが出た。 8月27日 ネット書店bk1で、『無痛文明論』の予約が始まった。とうとう始動するのだなあという感慨がある。送料無料なのでお得です。ぜひご利用を。bk1は、非常に好意的のようだ。新しい企画も進んでいるので、またお知らせします。 9月2日 池袋での講演会の日程が決定した。リブロ池袋店の提供で、西武池袋コミュニティカレッジで開かれます(下記参照)。有料とのことなので、なにか余興を準備しますね(^^;)。出版と同時だし、華やかな一日になりそうです。リブロ池袋店では「無痛化する現代文明」というフェアを人文コーナーでやるみたいですよ(9/20-10/15)。 9月2日その2 bk1で、「無痛文明論」連続講義という連載が始まりました。9月から10月にかけて、定期的にアップしていきます。本文の一部もお見せする予定です。bk1さん、力を入れてくれてます。みなさんも予約して買ってあげよう。 9月5日 bk1に続いて、アマゾン書店でも先行予約が始まったようだ。ネット書店、がんばっているみたいですね。 9月13日 無痛文明論のチラシが書店に置かれはじめているようだ。いよいよ、書籍の見本が出来上がってくる。この緊迫感は、いいなあ。「無痛文明」という言葉は、けっこうキャッチーなようで、すでにあちこちで引用されたり、利用されたりしている。もし本書が話題になったら、「無痛化する若者たち」とか「無痛社会を生きる」とかいうタイトルの本が将来出てきたりするのかなと思ったりする。(「生命学」は、ここ10年のあいだに、本のタイトルや、大学の講座名にもなってるみたいですよ)。 9月17日 とうとう無痛文明論の見本が出来上がった。写真をアップしましたのでご覧ください。インパクトがあってとてもよい装丁だと思います。これが10月に店頭に並ぶんですね。うれしいなあ。表紙は、微妙に修正されたみたいですね。ずっしりと重いですよ。3800円はリーズナブルかも。気がついたら、bk1の無痛文明論講義・第2回がアップされてます。 9月22日 送られてきた「無痛文明論」見本を、何度もパラパラとめくってみたり、装丁を眺めたりしている。とうとう完成したなあという充実感と、終わっちゃったなあという空白感がともにある。これから、講演やインタビューやらが控えているから、もうひとふんばりしなくては。心はもう次回作に行っているんだが・・・。 9月24日 「無痛文明論」がいつどこの書店に並ぶのか、ネット書店からはいつ送られてくるのかというのは、なかなか予測するのがむずかしい問題らしい。私の新刊は、刊行後の数日間くらい、書店に出てはさっと売り切れてしまうこともあるから、大手書店に行けばかならずあるということにもならんのだ。(発売を首を長くして待っている濃いファンが多いということなので、うれしいことなのだが)。発売直後は、みなさんには、いらいらさせることになるとかもしれませんが、なにとぞ辛抱して探したり、待ったりしてくださいませm(_ _)m。それと、下記の9月27日の講演会は、まだ席がたっぷりあるそうなので(TT)、ぜひどうぞ。 9月30日 小手指の講演会は無事終了。たくさん集まってくださって、ありがとうございました。私としては話が大きくなりすぎたかなという反省がありますが、どうだったんでしょうか・・・。しかし、無痛文明論の話をするのは、精神的にかなり疲れる。池袋の講演会では、また違った話をしようと思ってます。それと池袋リブロ書店、ジュンク堂で先行発売が始まりました。こっそりと見に行ったら、リブロで私の目の前で購入してくださった人を発見。感謝感激です。 10月2日 とうとう書店配本が始まったようだ。大都市で10月3日という情報が入ってきた直後、京都のジュンク堂と丸善で平積みされているのが投稿者によって確認。これから各地の本屋さんに並んでいくのだと思います。みなさんおっしゃいますが、想像よりも、でかいですよこの本は。各地の目撃情報は、書籍掲示板までよろしく。あと、京都の講演会も決定したので、下を↓見てください。 10月9日 都市部の書店に平積みが始まりました。でもまだ並んでない大書店もあるようなので、配備情報をご確認のうえ、見に行ってみてください。ネット書店での購入もお手軽で好評ですよ。高い本なのに、目立つところに平積みしてくれてる本屋さんには、ほんと感謝したいです! 10月10日 朝日・読売は10月12日(日)読書面に広告、日経は10月19日(日)2面に広告、が決定したようです。毎日も来週末か再来週末。池田晶子さんの「14歳からの哲学」と一緒の広告とのことですが、さて、どんなものが出るのか、楽しみですね。 10月24日 発売後、約20日経過。そろそろ、買ってくれた方々も読み終える頃なのか?それとも(私も多くの場合そうであるように)あとでじっくり読もうと思っているのか? 反響もメールや掲示板でいろいろ帰ってくるようになった。ウェブでも、コメントなどが出始めている。いろんな反応があって、楽しい。これから12月にかけて徐々に新聞・雑誌などの書評が出てくることだろう。さて、どういうことになるのかな。もしどこかで書評などを見つけたら、掲示板で教えてください。よろしく。bk1やアマゾンでは、書評をいつでも受け付けているようですよ。 11月9日 やっと昨日で一連の無痛文明論講演会シリーズが終わった。来てくださったみなさま、ありがとうございました。どの会も、違った内容でしゃべったから、なかなかしんどかったけど。所沢は全体像、リブロは朗読などもあり、京都はちょっと学術的といった感じ。さて、そろそろ新聞書評が出始めるころではないかと思います。みなさんも、雑誌などで目撃されたら、ぜひ教えてください。よろしく。 11月18日 11月9日、16日と、新聞書評がまとめて出始めました。手応えのある書評ばかりで、とてもうれしいです。これで、声を届けるべき人々に、この本の存在は認知されたのではないでしょうか。肩の荷が降りたような感じがします。書店も引き続き、平積みにしてくれているようで、これまたうれしい。本を出してよかったと思う。 11月26日 新聞書評のおかげもあって、重版が決まりました。刊行後2カ月目で重版なので、良いペースだと思います。12月1日には第2刷りが店頭に並びはじめます。重版が決まって、著者の責任も果たせ、ほっとしてます。雑誌インタビューなども来はじめました。掲載などが決定しましたら、またここや日記などでお知らせします。12月はじめに刊行されるのは、雑誌『人間会議』のエッセイ、『第3文明』のインタビュー、『中央公論』新年号での対談とかです。 12月15日 新聞広告がまた出たようです。上記3雑誌発売になってます。『中央公論』は超好意的、『人間会議』はハンス・ヨナス、リチャード・ローティーと並んで3人の哲学者として紹介されているのには驚き(聞いてなかった)。今後、『SAPIO』にインタビューが載る予定です。あと新聞にエッセイを書く予定なので正月前後に載るかも(これからあせって書きます)。あとNHKテレビ東海ローカルで1月27日・2月3日にちょこっと話す予定。 12月23日 「無痛文明論」の3刷りが書店に並ぶ頃です。3刷りは千部刷ったのですが、カバー下の厚紙の表紙の紙が品切れになっていて、3刷りだけ本体の表紙の色が微妙に違います。3刷りだけの処置らしいので、これは稀覯本になるかもしれませんよ。画像をアップしようと思ったが、スキャナーでは違いが読みとれない。NHKテレビ東海の収録をしてきました。放映は上記の11:05−12:00のあいだのどこかで8分間ずつです。放映地域は、愛知、岐阜、三重らしい。興味ある方は、その地域の知り合いに頼もう。 12月24日 1月に新聞にエッセイが載る予定です。『読売新聞』1月5日夕刊予定、『産経新聞』1月10日夕刊予定、『聖教新聞』1月1日予定。ずれる可能性もあり。 12月29日 「読売新聞」への広告が載るらしいです。名古屋以東は明日30日、 以西はあさって31日とのこと。ということで、みなさんよいお年を! 2月23日 そういえば、「ブッククラブ回」のニューズレターに、私へのインタビューが載りました。よくまとまっています。
9月27日(土)午後2:00〜4:00 東京地方 終了 森岡正博「無痛化する現代社会と若者たち」(県立所沢西高校PTA主催) 10月5日(日)午後4:00〜5:30 東京地方 終了 森岡正博「〈無痛文明〉を語る」 (リブロ) 11月8日(土)午後4:30〜6:30 関西地方 終了 森岡正博「<無痛文明>を語る・あるいは「無痛文明論」後を語る」(大垣書店) 3月13日(土)午後2:30〜5:00 関西大学法学研究所 終了 森岡正博「「無痛文明」の時代を考える」 講演会をレポートしてくれたページ ・所沢西高校の講演会:Masterみっしぇるさん(9月27日のところ)
<書評・批評・コメント> *まったく不完全なリストです。ご存じの情報がありましたら、教えてください。 ・ネット 正岡豊さん 2004年12月15日 <森岡へのインタビュー記事> 情報をお寄せください!(メールor掲示板) |
1、最初サンプルを拝見した際に、映画の『マトリックス』が頭をよぎりました。いまや社会全体に網の目のように自己増殖化する資本主義に対して、その自己治癒し自己増殖する<装置>に対して、われわれが抗する手段は既に「仕組まれている」ものである可能性というのを最終章で森岡先生は暗に示しておられましたが、何か簡潔な<解決策>などは存在せず、地道に一つ一つ「脱構築」とでもいうべく(第4章で先生は「解体」とおっしゃっていましたが)、対処していく-その場その場でその<装置>に気がついた際に抗していくことが究極的な答えということでしょうか?
2、第六章の「自然」についてです。U.ベックは'Ecological Politics in an Age of Risk'Cambrifge:Polity
Press,1995、において、われわれが「自然」について考える時に、その時点で既に世界には、われわれが想定するような「自然」などほとんど想定していない、ということを技術発展による自然の変容から説いています。そして同様に、森岡先生の著作の第六章における「人為により管理されている自然」というものを否定した際に、ディープエコロジーの思想そのものが根底から否定されるような感を受けましたが、無痛文明を突き動かす<装置>が姿をあらわさず、一方でディープエコロジーはその<装置>を強化しているのでしょうか?もしくは、環境倫理が、この無痛文明論に抗することへの可能性は残されているのでしょうか?
3、「無痛文明」を否定(?)することは、「医療」という発想・思想そのものを否定することになるでしょうか?
4、質問8とも重なる部分だと思いますが、また「無痛文明」が進行すれば、医療の現場に於いて、現在半ば「異常」とみなされているようなクィア(変態)やホモセクシャルなどの子供を産むことが、「事前に」抑圧されてしまうと思うのですが、そのような「正常」と「異常」の線引きを新たに提示する思想の契機などは現在あるのでしょうか?
5、「無痛文明」に対しての<解決策>として、森岡先生は「生命の欲望」への「転轍」という言葉を用いていますが、ニーチェの「超人」のようにわれわれ一人一人がその「身体の欲望」から逃れることが(というよりかも「方向を変えることが」)できるような「強い個人」になることには、ある種宗教的な「信仰」ともいうべきものが必要ではないかという疑問があるのですが、これを合理的に人々に説くことができるでしょうか?