作成:森岡正博 |
われわれの改正案についての新聞報道
2001年2月10日(土)夕刊
共同通信の配信
◎15歳未満も本人意思で提供 ネットで移植法改正案
臓器移植法が認めていない十五歳未満の子供からの臓器提供に関して、大人と同様に本人意思に基づいた提供を可能にすべきだとした同法の改正案を、大阪府立大の森岡正博教授(倫理学)らがまとめ、十日までに厚生労働省や国会議員、患者団体などに郵送した。
森岡教授のホームページの掲示板で行われた一年以上にわたる議論をまとめた。現行法の本人意思の原則を守りながら、海外での移植に頼らざるを得ない子供に対し、国内での臓器移植に道を開くのが狙い。十四日にホームページ上で正式公開する。
改正案は、脳死を人の死とする立場と、しない立場の両方を認めている現行法を評価。その上で、十五歳未満の子供にも意思表示カードなどで自分の立場を表明する権利を認める。
ただ年齢が低くなるに従って意思表示の信頼性も薄れると考えられるため、一定の年齢に満たない場合は臓器提供を禁止。意思表示が認められる下限年齢として、厚生省が脳死判定基準づくりを検討している「六歳」と、中学校に入学する「十二歳」の二通りを提案した。
下限を六歳とした場合、十二歳未満の子供については、親の虐待や意思表示の強制、カードのねつ造がなかったかを第三者がチェックする仕組みの整備が不可欠だとした。
森岡教授は「子供の移植を可能にしながら、多様な死生観を許容する枠組みは守るべきだ。脳死を一律に人の死とする見直し案には反対したい」としている。
ホームページアドレスはhttp://member.nifty.ne.jp/lifestudies/ishokuho.htm
読売新聞夕刊
15歳未満でも臓器提供可能へ研究者が改正案
脳死後の臓器提供が可能な年齢を、現在の「十五歳以上」から「十五歳未満」にも広げる臓器移植法の改正案を、大阪府立大総合科学部の森岡正博教授と関西医科大小児科の杉本健郎助教授がまとめた。提供の前提となる「本人の意思表示」が可能な年齢を引き下げる内容で、インターネットでの意見を分析した結果、子供たちも、脳死を理解して意思表示する能力があると判断したという。法案を国会に送り、十四日からはホームページでも公開、論議を広げる。臓器移植法は一九九七年の施行以来、年齢の壁が課題になってきた。民法の遺言可能年齢「十五歳以上」をもとに、指針で制限を設けたからで、小さな臓器しか移植できない子供の患者は海外で提供を待つほかなくなった。
インターネットで意見を募った結果、遺産問題とは違い、脳死後の臓器提供については子供たちも理解できると判断。意思を残す権利も尊重し、十二歳以上なら、「本人の意思表示」と「親権者の事前承認」を前提に、脳死判定を受け入れ、臓器提供できるとした。十二歳未満は、これを認めない案と、脳死判定の基準がある六歳以上に限り、「脳死が幼児虐待によらない」ことなどを確認したうえで認める案を併記した。
内容は、ホームページ(http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/ishokuho.htm)で公開する。