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作成:森岡正博
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千葉市条例案
千葉市男女共同参画ハーモニー条例案要綱(案)のなかに、「女らしさ,男らしさという言葉に端的に表される,性別により男女に一定のあり方を期待する意識は,歴史的,文化的伝統にも根ざしており,一方的に否定されるべきではない。」という文章が書かれています。
全文は千葉市のHPにありますので、ご確認ください。
これは、「男女共同参画」の理念とはまったく反する考え方です。
また、その前後の文脈からも、完全に浮いています。
おそらく、何かの政治的意図のもとに、ねじ込まれたのではないかと私は推測しています。
もし、このまま議会で制定されてしまえば、千葉市民の恥になるだけでなく、男女共同参画をサポートしてきた全国の心ある人々の努力に泥を塗ることになります。
千葉市は、意見を求めていますので、ぜひみなさんもご意見を直接お送りください(千葉市民でなくてもよい。ほら、地方に帰省中で千葉以外から意見を送ることのできない市民がこの時期たくさんいますしね)。締め切りは8月16日とのことです。(緊急を要します。送付された意見は、一覧表にして会議の資料として配付されるはずです。効果あります)
1 応募方法及び宛先
(1)郵送の場合 〒260-8722 千葉市中央区千葉港1-1 千葉市男女共同参画課
(2)ファクシミリの場合 043-245-5539
(3)電子メールの場合 danjo@city.chiba.jp
2 問合せ先 043-245-5060 千葉市男女共同参画課
お知り合いの千葉市民の方にも、ぜひ教えてあげてください。
補足
えー? 「男らしさ」「女らしさ」があったってかまわないじゃない! 「男らしさ」「女らしさ」がなくなっちゃう社会って、わたしは嫌だな。私は「男らしく」「女らしく」ありたいと思ってる。だから、上記のどこかおかしいのさ!
・・・という反応がすぐに返ってくることでしょう(^^)アーツマラン。
はい。「男らしさ」「女らしさ」が社会のなかにあったって、ぜーんぜんかまいませんし、あなたや私がそれを好きであっても、ぜーんぜんかまいません。問題なのは、そこじゃなくて、「男女に一定のあり方を期待する意識」を肯定している点が問題なのです。これは、要するに、「あんたも女だろう。だったら、もうすこしスカートでも履いて、お化粧でもしてきたらどうなんだ?」「きみもそろそろ会社を背負って立つ年齢だ。そろそろ家庭をもったらどうだ」というような意識のことです。そして、まさに、このような意識こそ、「歴史的、文化的」にいままで言われ続けてきたわけですよ。このような「歴史的、文化的」意識を、根絶しようというのが、「男女共同参画」の考え方だったのではありませんか?
もういちど、言いましょう。「男らしさ」「女らしさ」が存在することは、まったく問題ありません。問題なのは、他人に対して、それを「期待する意識」なのです。社会学ではこの意識のことを権力と呼んできました。
参考資料1
沼崎一郎さんが千葉市に下記のご意見を送付されました。思考の助けになると思いますので、沼崎さんのご許可を得て以下に採録します。ぜひ、みなさんも、意見送付してみてはいかがでしょうか。数は、大事です。
千葉市男女共同参画課 御中
前略
貴市ホームページにおいて、「千葉市男女共同参画ハーモニー条例案要 綱」(案)を拝見いたしました。
同要綱(案)前文の第3段落に見られる「女らしさ,男らしさという言葉に端的に表される,性別により男女に一定のあり方を期待する意識は,歴史的,文化的伝統にも根ざしており,一方的に否定されるべきではない。」という一文は、男女共同参画社会基本法第四条に明確に違反すると判断できます。条例案から削除されるよう進言いたします。
男女共同参画社会基本法は、第四条において、「社会における制度又は慣行についての配慮」義務を、次のように規定しています。
第四条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、 性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対 して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
貴市の条例案要綱(案)前文にある「性別により男女に一定のあり方を期待する意識」とは、上記第四条の規定する「性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼす」意識であることは、火を見るよりも明らかです。それは、上記第四条が述べるとおり「男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがある」意識です。このよう な意識の改革に寄与する施策こそ、男女共同参画社会基本法が求めるものです。
ところが、そのような男女共同参画の阻害要因となる意識を「一方的に否定されるべきではない」と容認することは、男女共同参画への非協力を是認し、従来の固定的性別役割意識が「男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響 を及ぼす」ことを容認することにほかなりません。それでは、基本法に違反するばかりか、貴市の条例制定の趣旨にさえ反する結果となるでしょう。
もとより、個人が、歴史と文化的伝統に根ざした「男らしさ」や「女らしさ」を自らの個性として選択することを、行政が阻害してはいけないでしょう。それは個人の思想・心情の自由を犯すからです。しかしながら、「性別により男女に一定のあり方を期待する意識」は、自分だけでなく他人にも同様の選択を「期待する意識」であり、それゆえに他者の思想・心情の自由を侵犯する意識でありま す。
一人の父親が、自分の個性として「男らしさ」を選択する自由はあります。しかし、その父親が、娘や息子に対して「性別により男女に一定のあり方を期待する意識」を持ってはならないのです。それは娘や息子の選択の自由を制約するからです。同様に、夫あるいは妻が、配偶者に対して「性別により男女に一定のあり方を期待する意識」を持ってはなりません。舅姑が、婿や嫁に対して「性別により男女に一定のあり方を期待する意識」を持ってもいけません。
貴市の条例案要綱(案)前文は、男女共同参画基本法第四条に違反するものであり、同条例の目的にも矛盾し、いたずらに市民に混乱を与えるだけであると憂慮されます。
繰り返しますが、前文第3段落の「女らしさ,男らしさという言葉に端的に表される,性別により男女に一定のあり方を期待する意識は,歴史的,文化的伝統にも根ざしており,一方的に否定されるべきではない。」という一文を削除されますよう、強く進言いたします。
千葉市民への友情と連帯をこめて
沼崎一郎
東北大学大学院文学研究科助教授
仙台市民
_______________________________________________________________________________
遅ればせながら、私も意見を送りました。
千葉市男女共同参画課様
拝啓
千葉市男女共同参画ハーモニー条例案要綱(案)を拝見しました。意見聴取を行なっているとのことですので、メールを送らせていただきます。
私は千葉市民ではありません。大阪府立大学総合科学部教授の森岡正博と申します。専門は、社会哲学、ジェンダー論などです。それに関する著作もございます。この要綱案については、インターネットなどですでに幅広く社会問題になっており、私の元にも届いてまいりました。
貴要綱案の、「女らしさ,男らしさという言葉に端的に表される,性別により男女に一定のあり方を期待する意識は,歴史的,文化的伝統にも根ざしており,一方的に否定されるべきではない」という文章は、国政レベルで議論されてきた「男女参画」の理念に明らかに反しており、ただちに削除すべきであると思います。
「男らしさ」「女らしさ」が存在すること、および個人がそれらを嗜好することにはなんの問題もありません。問題なのは、それらの「一定のあり方を期待する意識」です。この「期待する意識」は、そのあり方を選択していない他人の行動を縛り、不利益をもたらすものです。この「期待する意識」というものを、社会参画の場面からできるかぎり排除していこうというのが、「男女参画」の理念です。
貴要綱案の当該文章は、この理念にあきらかに反しています。
また、一般市民の目からすれば、この文章だけが、前後の文脈からあきらかに「浮いて」おり、あとで無理やり挿入されたものという印象を与えています。
もし、この文章を保存したままこの条例が可決されるようなことになりますと、将来に渡ってまで、千葉市の「汚点」となることでしょう。われわれ、ジェンダーに関わる大学教員も、大学の授業で、千葉市の条例を「男女参画」の理念を後退させた悪条例として、学生に提示することになるでしょう。実際、私の秋の講義では、貴条例案を「男女参画」の理念を後退させる実例として、取り上げたいと考えています。
私は、千葉市および千葉市議会の見識を信じております。
千葉市民でない者が、このメールをお送りするのは趣旨にはそわないかもしれませんが、すでに貴条例案は全国レベルの話題になっており、かつ、今後の日本の「男女参画」を推進するうえでも見過ごせないものであると考えましたので、送らせていただきました。
なお、このメールの内容は、私個人のホームページにて広く公開し、市民への情報提供の一端を担いたいと考えています。
なにとぞ、よろしくご検討くださいませ。
それでは、失礼いたします。
大阪府立大学総合科学部教授 森岡正博
〒599-8531 堺市学園町1-1 大阪府立大学
(プライバシー情報はここでは省きました)
参考資料2
男女共同参画宣言都市である宇部市がさきごろ制定した「男女共同参画推進条例」に、以下の条文があります。
(基本理念)
第3条 ・・・
四 家族を構成する男女が、家庭尊重の精神に基づいた相互の努力と協力の下に、愛情豊かな子育て、家族の介護その他の様々な家庭生活の営みにおいて、すべからく家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ、就業その他の社会生活における活動を行うことができるよう配慮に努めること。ただし、それぞれの家庭における役割の重要性や子どもへの配慮を軽視することのないよう十分に留意すること。
五 専業主婦を否定することなく、現実に家庭を支えている主婦を男女が互いに協力し、支援するよう配慮に努めること。
こういうのって、「男女共同参画」って言うんですか? 「家庭尊重・専業主婦維持条例」じゃん。宇部市って、恥ずかしい〜。
参考資料3
なるほど、背景にはこのようなグループが・・・・。宇部市の条例成立に関わったとおっしゃってます。リンク先をよく見ると、あー、あのひと、このグループ・・・。
男女共同参画社会 ・ 夫婦別姓を慎重に考えるためのホームページ
(日本を全体主義へと導く フェミニズム思想 男女共同参画社会基本法・条例を監視しよう!)
http://www.geocities.co.jp/PowderRoom/2275/
この方たちも、千葉市条例案に意見を送ってる(バックラッシュ掲示板より)